[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]国内のiPhone人気とは逆に、高まる Google Playの重要性

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2014/07/01 (Tue)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]国内のiPhone人気とは逆に、高まる Google Playの重要性

-はじめに-

日本ではキャリアの販売施策の影響もあって、 iPhoneの販売が好調であり、今では単月の販売状況を見ると、 AndroidよりもiPhoneユーザーの方が多いと考えられます。 またマーケットやユーザー層の性格もあってか、 これまでApp Storeの方がマネタイズしやすいとも言われてきました。
なのであれば、Android向けのゲームに注力する必要はないようにも思えますが、市場を見ると逆にAndroidの重要性がより高まってきているように感じます。

キャリア課金の仕組みを利用できるGooglePlay

大きな要因の1つとなるのは“キャリア課金”の存在です。 キャリア課金を利用すれば、かつての携帯コンテンツ同様スマートフォン上だけで手軽に決済ができ、クレジットカードや プリペイドカードなどを用意する必要がありません。 しかし、アップルがキャリア課金の仕組みを認めていないことから、この仕組みが利用できるのはGoogle Playのみとなっています。

図1

▲Google Playの場合、クレジットカードやプリペイドカードに加え、キャリア決済が利用できるのが大きな特徴

Android展開での重要な要素となるキャリア課金

それゆえゲームアプリの関係者からは、 Google Playは、課金のしやすさから1人当たりの決済額が多いという声をよく耳にします。 ユーザー数はiPhoneより少ないが、キャリア課金の影響でゲームに支払う1人当たりの額が大きくなりやすいことから、Android向けの展開が重要となってきているのです。 海外でもこの傾向は顕著で、キャリア課金を開始した国ほど ゲームの売上が伸びる傾向が強く、 最近では香港などがキャリア課金導入の影響で急速に売上を伸ばしているようです。

もう一つの注目要因、マルチプラットフォーム化

もう1つの要因は、ゲームアプリ間の競争激化によって、 iOSだけでなくAndroidも押さえたマルチプラットフォーム化が、売上を最大化する上で必須になってきていることです。
マルチプラットフォーム化の高まりを顕著に見て取ることができるのが、App StoreとGoogle Playの売上ランキングにおいてランクしてくるアプリの共通化が一層進んできているということ。例として、前回と同じ2013年と2014年の6月9日時点における、App StoreとGoogle Playそれぞれの売上ランキングを表にまとめたものを掲載しますが、これを見ると昨年と今年とでは両ランキングの共通化が一層進んでいることが分かります。

AppStore、GooglePlayのランキング比較(2013年・2014年)

▼2013年6月9日時点における、App StoreとGoogle Playの売上ランキング比較※濃い色は上位10位以内で共通、薄い色は上位20位以内で共通

図2

▼2014年6月9日時点における、App StoreとGoogle Playの売上ランキング比較※濃い色は上位10位以内で共通、薄い色は上位20位以内で共通

図3

ランキングの違い①-ゲームを提供するタイミングによるタイムラグ-

仕組み上、Google Playの方がランキングの変化反映が遅いため内容にはややずれが生じますが、 それを考慮しても以前は、App StoreとGoogle Play、 それぞれの売上ランキングに現れてくるアプリに多くの違いが見られました。その大きな理由の1つとなっていたのが、ゲームベンダー側が各プラットフォームにゲームを提供するタイミングに、タイムラグがあったことです。

ランキングの違い②-ベンダーによる戦略の違い-

例えばアソビズムの「ドラゴンポーカー」は、iOS版の提供が2013年5月であるのに対し、Android版の提供は同年12月と、 両プラットフォームでの提供に半年以上のタイムラグが見られます。一方でコロプラなどは、iOSを重視するベンダーの逆を突いて、Android向けに先にゲームを提供し、人気を高めてからiOSに展開するという手法をとっていました。
このように、プラットフォーム毎に異なる戦略をとるベンダーがいくつか存在したことが、iOSとAndroidで人気となるゲームの傾向に差が出る大きな要因の1つになっていたといえるでしょう。

マルチプラットフォーム開発ツールの広まりによるタイムラグの解消

しかし最近は、売上の最大化というビジネス的要因に加え、 「Unity」「Cocos2d-x」など、マルチプラットフォーム対応開発ツールが急速に広まったという開発面での要因もあり、 タイムラグの問題が解消に向かいつつあります。 現在は体力の弱い個人・小規模のベンダーを除けば、 双方のプラットフォームでほぼ同時、もしくは大きく時期を遅らせることなくゲームを提供するケースが多くなっているようです。

おわりに

国内のスマートフォンのシェアでは iOSに引き離されているものの、 キャリア課金で1人当たりの売上を拡大しやすいのに加え、 競争の加速でマルチプラットフォーム化が進んでいることが、Android、ひいてはGoogle Playの重要性を高めています。 それだけに今後、国内でゲームアプリによるビジネスをしていく上では一層、iOSとAndroidへのマルチプラットフォーム対応は必須と考えておいた方がよいでしょう。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。