[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]時流を読んでヒットを生み出し成長に結び付ける コロプラのスマートフォン戦略

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2014/09/16 (Tue)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]時流を読んでヒットを生み出し成長に結び付ける コロプラのスマートフォン戦略

-はじめに-

9月より、スマートフォンのゲームアプリで高い人気を獲得しているベンダー1社をピックアップし、
最近の動向から各社の強みや課題、今後に向けた動向などを分析しています。第2回は、スマートフォンのゲームアプリで急激な成長を遂げた企業の1つ、コロプラを取り上げ、動向を分析していきます。

ゲームアプリの売上が大半を占める主力事業に成長するコロプラ

スマートフォンのゲームアプリで急激な成長を遂げた企業の1つに、コロプラがあります。同社は従来、携帯電話の位置情報を用いたブラウザゲームプラットフォーム「コロプラ」を提供し、全国各地の交通機関やリアル店舗などと提携したO2O施策などで注目されていました。ですが、スマートフォン向けのゲームアプリビジネスに乗り出し、次々とヒット作を輩出したことで急激な成長を遂げ、
現在はゲームアプリの売上が大半を占める、主力事業に成長しています。

ヒットの要因 ~時流を読んだ取り組み~

コロプラの成長を見ていく上で大きなポイントとなっているのが、時流を読んだ取り組みがヒットを生み出していることです。当初、同社のゲームアプリの稼ぎ頭となったのは、「秘宝探偵キャリー」と「プロ野球PRIDE」ですが、それ以前より「Kuma the Bear」ブランドで、数多くのミニゲームを提供し、スマートフォンのアプリマーケットの動向をいち早く学んだことが、同社の成長に大きく影響したといえます。

コロプラの成長に大きく寄与した、「黒ウィズ」

中でも、同社の成長に大きく寄与したのが、2013年に配信開始した「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」(以下、黒ウィズ)です。ネイティブゲームへの移行が求められるタイミングで、ハイブリッド型からフルネイティブへと環境を変えたこと、また人気のある“クイズ”という概念を取り入れつつも、上手にゲームへと落とし込み幅広い層を掴んだことが、人気を獲得した大きな要因となっています。時流を読むコロプラの力がいかんなく発揮されたタイトルといえるでしょう。

図1

▲コロプラの成長を大きくけん引したヒットタイトル
「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」(プレスリリースより)

コロプラの強み

そして現在、コロプラは黒ウィズに加え、今年配信を開始したアクションRPG「白猫プロジェクト」が
ヒットを獲得。2つの大ヒットタイトルという柱を持ちながらも、固定ファンを持つ「プロ野球PRIDE」、そして、「軍勢RPG 蒼の三国志」「スリングショットブレイブ」「ほしの島のにゃんこ」といった中堅クラスのタイトルを複数抱えており、安定した成長と売上を確保できているのが、同社の大きな強みとなっています。
実際、2014年9月期第3四半期の決算においては、今期2度目の通期業績の上方修正をするなど、好調ぶりを維持しているのが分かります。

図2

▲コロプラの2014年9月期第3四半期概要(同社説明会資料より)。
2度の上方修正を実施するなど、高い成長を維持しているのが分かる

戦略の大きな変化~プロモーション~

そして最近、コロプラの戦略に大きな変化が見えてきたのは、プロモーションです。コロプラは黒ウィズでテレビCMの展開を実施して以降、積極的にテレビCMを活用してプロモーションを実施するようになりました。ですが「白猫プロジェクト」や「合体RPG 魔女のニーナとツチクレの戦士」では、アプリ提供開始して間もないうちに、テレビCMによるプロモーションを実施してユーザー獲得に動いているのです。
この傾向はガンホー・オンライン・エンターテイメントなどにも見られるものですが、やはりヒットタイトルを持ち、テレビCMを先んじて展開しているからこそ、変化を読み取って戦略を変えることができたと見ることができそうです。

コロプラの抱える2つの懸念要素 ~黒ウィズの失速傾向~

このように、ヒットタイトルを継続的に生み出す体制を整え、好調を維持するコロプラですが、今後を見据える上で懸念される要素も出てきています。1つは、今年に入ってから、黒ウィズが各アプリマーケットの売上ランキングで失速傾向にあり、ピークアウトの可能性が見えてきたことです。特に近頃、App Storeのトップセールスにおける順位が乱高下する傾向が強まっています。
この状況は、一定数のユーザーが白猫プロジェクトや他社のゲームへと移り、ユーザーのコア化が進んでイベント等に売上が左右されるようになったと考えられ、従来の順位安定ぶりを考えると厳しい状況になりつつあることをうかがわせます。今後黒ウィズを立て直すことができるか、あるいは他のタイトルでカバーできるのかに、注目が集まるところです。

資料:App Storeの「トップセールス」ランキングにおける黒ウィズの推移

図3

▲2013年9月15日から2014年9月14日までの、App Storeの「トップセールス」ランキングにおける
黒ウィズの推移(App Annieより)。今年に入り順位の下げ幅が大きくなっているのが分かる

コロプラの抱える2つの懸念要素 ~海外展開~

そしてもう1つは海外展開です。同社は主力の黒ウィズをはじめとして、いくつかのタイトルで中国や韓国などに提供していますが、大きな成果へと結び付くには至っていません。また、海外ベンダーなどとの共同開発による、新ブランド「Colopl Party」も、まだ成功に結び付けることはできていません。
長い目で市場を見た場合、海外での足場を作ることは重要な意味を持つだけに、勢いのあるうちに海外での成功事例を作ることができていないのには懸念があります。

時代を読む力

変化を見据え、先手を打って取り組みを進めるコロプラの“時代を読む力”が、今後もうまく発揮できるか否かに、同社の成長継続はかかっているといえそうです。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト
福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。