[佐野正弘のスマホゲーム業界動向] 「モンスターストライク」で ゲームアプリの主役に躍り出たミクシィ

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2014/10/15 (Wed)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向] 「モンスターストライク」で ゲームアプリの主役に躍り出たミクシィ

-はじめに-

9月より、スマートフォンのゲームアプリで高い人気を獲得しているベンダー1社をピックアップし、
最近の動向から各社の強みや課題、今後に向けた動向などを分析しています。
第4回は、配信開始からわずか1年で、ゲームアプリ市場の主役にも君臨しようとしている「モンスターストライク」でおなじみの企業、大ヒットタイトル1つで、業績が大きく変えられる…。そんなゲームアプリの威力を強烈に印象付けた、『ミクシィ』をPICK UPします。

ゲームアプリの威力を強烈に印象づけたミクシィ

大ヒットタイトル1つで業績が大きく変えられる。
そんなゲームアプリの威力を強烈に印象付けたのがミクシィです。
SNS「mixi」の提供で知られるミクシィですが、2009年に開始した「mixiアプリ」以降、ソーシャルゲームプラットフォームとしても注目を集め、ゲームの課金を主体に成長してきました。
実はmixiの利用減少により広告収入が減少する中、2012年以降売上の半分以上をゲームの課金が占める状況となっていたのです。

売上を劇的に向上させた「モンスターストライク」

ですが、同社をより大きく変えたのは、2013年10月に提供開始した「モンスターストライク」です。
モンスターを引っ張ってぶつける特徴的なゲームスタイルに加え、友情コンボによる派手な演出、そしてBluetoothによるアドホック通信で近くの友達と接続し、協力プレイができることなどが人気となり、急速にユーザー数を伸ばして同社の売上を劇的に向上させました。


図2

▲ミクシィの「モンスターストライク」。(写真はプレスリリースより)
引っ張ってぶつけるゲーム性や、アドホック通信による連携プレイが人気となり、現在では1400万ユーザーを抱える同社の主力事業となった。

勢い加速のためにリスクをとって打ったCM施策

さらに特筆すべきは、今年2月に公募増資で63億円を調達し、その資金を全国でのテレビCM放映に当てるなど、ゲームのプロモーションに大胆にコストを割いたことです。
当時、モンスターストライクは、既に300万ユーザーを突破し勢いに乗っていたものの、口コミによる自然増に任せるのではなく、勢いを加速するためリスクを取ってCMを打ったことが、一層のユーザー獲得につながったといえます。

ゲームアプリ市場の主役にも君臨しようとしている

こうした取り組みによって、モンスターストライクは10月6日に、国内外合わせて1400万の利用者を獲得。2014年度第1四半期の売上高を見ると、モンスターストライク提供前(2013年度第2四半期)の7倍にも達するなど、ゲームのヒットで劇的に成長したことがよく分かります。
さらに今年に入ってからは、売上ランキングで長く1位の座に君臨する、「パズル&ドラゴンズ」を抜く機会が増加。配信開始からわずか1年で、ゲームアプリ市場の主役にも君臨しようとしているのです。

資料:ミクシィの売上高推移

図3

▲ミクシィの売上高推移(ミクシィ2014年度第1四半期決算説明会資料より)。
モンスターストライクのヒットで売上が劇的に増加。売上高も100億規模にまで到達している

次のヒットをつくりだすためには

ですがミクシィ自身は、ゲームを開発する企業ではなく、モンスターストライクもカプコン出身の岡本吉起氏が制作に携わるなど、外部の力による部分が少なくありません。
それゆえゲーム主体のベンダーのように、ミクシィ自体が次のヒットゲームを容易に作り出せる環境にあるかというと、そうではないと考えられます。

幅広い事業展開で次のヒットを探る考えを持つ

またミクシィ自身も、ゲーム専業にシフトする考えはないと見られ、フォトブックサービスの「ノハナ」や、買収した結婚支援事業の「Diverse」など、コミュニケーションに関連した幅広い事業を展開することで、次のヒットを探る考えを持っているようです。
そうしたことからミクシィが今後もゲーム事業で成長を続けるには、まずモンスターストライクを、利用者拡大と継続利用によって安定した柱にすることが求められるでしょう。

モンスターストライクの海外展開

利用者を拡大する上で重要となるのが、モンスターストライクの海外展開です。
ミクシィはまずアジア圏を重視した海外戦略をとっており、今年の2月には、SNS事業でつながりのあった中国のテンセントと、中国・香港・マカオでの事業展開に同意(中国では7月よりβテストを実施中)。5月には、自社で台湾向けの配信を開始しており、既に70万の利用者を獲得しています。
さらに10月には北米、12月には韓国での配信を開始するなど、急速にその範囲を広げようとしています。

図4

▲モンスターストライクの海外展開(ミクシィ2014年度第1四半期決算説明会資料より)。 先行する台湾では70万ユーザーを獲得するなど、人気を高めている

継続利用に向け、求められる多面的な取り組み

また継続利用という観点で言えば、ゲーム自体の運用による既存ユーザーの継続に加え、キャラクターのIP化やタイアップなど、多面的な取り組みによる知名度の拡大が、より求められるところです。モンスターストライクのCMにLINEのキャラクターが登場したことが大きな注目を集めましたが、そうした取り組みによって継続的に話題性を提供することも、必要となってくるでしょう。

コンテンツ重視の姿勢へ

6月にモンスターストライクを手掛けた、森田仁基氏に社長が交代したことで、ミクシィはよりコンテンツ重視の姿勢をとると見られます。それだけに、モンスターストライクでどこまで成長を継続できるか、手腕が大きく問われるところです。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト
福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。