[佐野正弘のスマホゲーム業界動向] 「ブレイブフロンティア」の成功で 海外展開を積極化するgumi

ABC ABC
2014/10/31 (Fri)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向] 「ブレイブフロンティア」の成功で 海外展開を積極化するgumi

-はじめに-

9月より、スマートフォンのゲームアプリで高い人気を獲得しているベンダー1社をピックアップし、最近の動向から各社の強みや課題、今後に向けた動向などを分析しています。第5回は、日本と海外の両方で成功を収めているタイトルの1つ、「ブレイブフロンティア」の提供元であるエイリムの親会社、『gumi』をPICK UPします。

日本と海外の両方で成功を収めている「ブレイブフロンティア」

環境や嗜好の違いなどもあって、日本から生み出されたゲームアプリのうち、国内と海外の両方で成功を収めているものは決して多いとはいえません。そうした中にありながらも、日本と海外の両方で成功を収めているタイトルの1つにエイリムの「ブレイブフロンティア」があり、そのエイリムの親会社となっているのがgumiです。

ソーシャルゲームの急速な人気の高まり後、ブラウザゲームへの開発へ舵を切っていった「gumi」

gumiは元々同名のSNSを提供していた企業ですが、ソーシャルゲームの急速な人気の高まりで、ブラウザゲームの開発へと舵を切り、GREE上で「任侠道」など多くのヒットゲームを輩出してその後もブラウザゲームを主体にゲーム制作を手掛け、2012年にはプラットフォームの海外進出に合わせて欧米やアジアなど海外にも子会社を設立し、海外進出を進めていきました。

「ブレイブフロンティア」を皮切りに急加速した海外展開

ですが、スマートフォンの浸透による、ブラウザからネイティブへという市場の急速な変化を受け、2013年6月にアプリ版の「幻獣姫 モンスタープリンセス」を提供して以降は、ネイティブアプリのゲーム開発へと大きく舵を切っています。その後設立した子会社のエイリムが開発した、「ブレイブフロンティア」が国内でヒットしたのを皮切りとして、同タイトルを主体とした海外展開を急加速。多くの国でダウンロードや売上ランキング上位にランクするなど、世界的なヒットタイトルに仕立て上げています。

図1

▲ gumiの子会社エイリムの「ブレイブフロンティア」(写真はプレスリリースより)。爽快感の高いバトルと、本格的なクエストが楽しめるRPGとして人気を博している。(C)2013 Alim Co., Ltd. All Rights Reserved.

積極的な海外展開と多くの国で残している「実績」

gumiが特徴的なのは、海外に積極的に攻めただけでなく、それを成功に結び付けたことです。ブレイブフロンティアを国内向けに配信開始したのは2013年7月ですが、同年10月には韓国、12月には台湾や北米、香港などで配信を開始。翌年4月には中国、5月にはヨーロッパでのサービスを開始するなど海外展開を急加速しています。しかも単に配信をするだけでなく、世界累計ダウンロード数1000万以上を記録し、米国やシンガポールなど、多くの国の売上ランキングで高い順位を獲得するなど、実績もしっかり残しているのです。

gumiの成功のポイント

海外展開に苦しむ日本企業が多い中にありながら、gumiが成功を実現できたのには、ブラウザゲーム時代に海外子会社を設立し、そのリソースをネイティブシフトに合わせて上手に活用できたことが大きいといえるでしょう。海外では日本と比べ早い段階でネイティブアプリの浸透が進んでいたことから、国内だけでは難しかったネイティブアプリの開発や、地域毎に異なる嗜好に合わせた、ローカライズ、カルチャライズなどのノウハウを先行して得られたことは、その後のブレイブフロンティアのヒットに大きく影響したと考えられます。

図2

▲ブレイブフロンティアはgumiの子会社を通じて徹底したローカライズがなされることで、世界的に人気を獲得。累計で1000万を超える、ダウンロード数を記録している。(※写真は、8月6日開催のLINEゲーム事業に関する発表会より)

他社、人気タイトルの海外向けパブリッシングも

gumiは海外で先行してヒットを生み出したノウハウを活かし、他社タイトルの海外向けパブリッシングや運営などの業務にも力を入れていくようです。
実際、7月にはセガネットワークと資本・業務提携して、「チェインクロニクル」など、人気タイトルの海外配信を手掛けることを公表したほか、10月にはアカツキと提携し、「サウザンドメモリーズ」の海外配信を手掛けるとの発表もなされています。

海外展開に弾みをつける、LINEとの業務・資本提携

また、gumiが海外に向けた取り組みを一層加速させ、成長につなげたいという狙いを見て取れるのが、LINEとの資本・業務提携です。8月にgumiはLINEと提携し、LINEのゲームプラットフォームに向けたゲームコンテンツを年間数本提供すると発表。LINEの集客力とgumiの海外ノウハウを活かし、海外展開に一層の弾みをつけようとしているのが分かります。

図3

▲gumiはLINEの出資を受け、LINEプラットフォームに向けたゲームを開発することを発表。LINEを通じて海外向けのゲーム配信を一層強化する狙いがあると見られる。(※写真は、8月6日開催のLINEゲーム事業に関する発表会より)

次のヒットをつくりだすためには

しかし一方で、国内の足場を固め、さらに海外展開を加速させる上でも、gumiにとっては次のヒットタイトルをいかに生み出せるかというのが、大きな課題となってくるでしょう。
この点に関しては、黎明期のソーシャルゲーム開発や、エイリムの設立などで深い関係を持つ、フジテレビのベンチャーキャピタル、フジ・スタートアップ・ベンチャーズと共同で設立した、Fuji&gumi Gamesが、10月23日に配信を開始した、「ファントム オブ キル」に期待がかかる所かもしれません。

図4

▲Fuji&gumi Gamesの「ファントム オブ キル」が10月23日より配信を開始。次のヒットを生み出せるか期待がかかる(写真は東京ゲームショウ2014の展示より)

—————
執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。