[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]オンラインゲームで培った経験を成長へとつなげるAiming

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2015/01/27 (Tue)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]オンラインゲームで培った経験を成長へとつなげるAiming

-はじめに-

9月より、スマートフォンのゲームアプリで高い人気を獲得しているベンダー1社をピックアップし、最近の動向から各社の強みや課題、今後に向けた動向などを分析しています。第8回は、コア化が進むゲームアプリマーケットにおいて、最近著しい伸びが見られるジャンルの1つ、“MMORPG”をはじめとするオンラインゲームに強みを持つ、『Aiming』をPICK UPします。

MMORPGなどのオンラインゲームに強みを持つ、Aiming

コア化が進むゲームアプリマーケットにおいて、最近著しい伸びが見られるジャンルの1つにMMORPG(※1)があります。そこで今回は、MMORPGなどのオンラインゲームに強みを持ち、ヒットタイトルとなった、「剣と魔法のログレス いにしえの女神」(マーベラス)を開発しているAimingを取り上げてみたいと思います。
※1 MMORPG は、Massively Multiplayer Online Role-Playing Game の頭文字をとったもので、大規模多人数同時参加型オンラインRPGと訳されることが多い。

当初はPC向けのオンラインゲームを多く開発・提供

AimingはゲームベンダーのONE-UP(2014年に合併して社名をジー・モードに変更)で、「ブラウザ三国志」(マーベラス)や「戦国IXA」(スクウェア・エニックス)などのオンラインゲームを手掛けたメンバーが独立し、2011年に設立した企業です。
それゆえ当初は、マーベラスなど、ONE-UP時代に取引のあった企業との協業により、PC向けのオンラインゲームを多く開発・提供していました。

コアユーザーを狙ったオンライン要素のあるゲームを提供

ですが、2012年に自社タイトル「ロードオブナイツ」を手掛けて以降、自社ブランドでのスマートフォン向けゲームアプリ配信にも力を入れるようになっています。
スマートフォンのゲームでは、ライト層を狙うベンダーが多い中、コアユーザーを狙ったオンライン要素のあるゲームを提供しているのが大きな特徴で、「ヴァリアントレギオン」は100万ダウンロード、ロードオブナイツは300万ダウンロードを突破するなど、一定の成果を収めています。

図1

▲Aimingが独自ブランドで配信している「ヴァリアントレギオン」(画像はプレスリリースより)。4人同時プレイ可能なアクションRPGで、100万ダウンロードを突破している

今や、売上ランキングTOP10の常連タイトル、 「剣と魔法のログレス いにしえの女神」

中でも現在、同社の主力タイトルとなっているのは、「剣と魔法のログレス いにしえの女神」です。同タイトルは元々、マーベラスとの協業によりPCブラウザ向けMMORPGとして開発された「剣と魔法のログレス」をベースに、スマートフォン向けとして開発されたものです。
2013年末の提供開始こそ、大きな注目を集めていた訳ではありませんが、徐々に各アプリマーケットの売上ランキングで順位を上げると共に、注目の度合いも高まっていきました。現在では売上ランキングのトップ10の常連タイトルとなっているほか、テレビCM展開などによって知名度も大幅にアップしています。

図2

▲「剣と魔法のログレス いにしえの女神」のキービジュアル(画像はプレスリリースより)。
MMORPGながら、売上ランキングで上位を獲得するタイトルへと成長している。

Aimingの強み ~オンライゲームを手がけた実績に裏打ちされた運営力~

Aimingの強みは、やはり長年オンラインゲームを手掛けてきた実績に裏打ちされた、運営力にあるといえるでしょう。同社のタイトルの動きを見ていると、特徴的なのが、「剣と魔法のログレス いにしえの女神」同様、配信開始当初より大きな注目を集めるケースがあまり多くなく、マーケット上でも目立つ動きをしている訳ではないということ。
配信後にユーザーを徐々に獲得していくと共に、運用で満足度を高めて離脱を防ぎ、長く楽しめる取り組みを重視することで、長期的に安定した売上を高めてきたといえます。初動よりも継続利用のための運用を重視する取り組み初動施策を重視する傾向が強い、ゲームアプリの世界において、同社の取り組みはかなり独自性の強いものですが、初動よりも継続利用が売上へとつながるオンラインゲームにおいては、運用重視で満足度を高める取り組みが重視されるのもまた事実。
オンラインゲームならではのセオリーをスマートフォンに取り入れ、それを成功へと導いたことは高く評価できます。

図3

▲2014年の「ロードオブナイツ」の売上ランキング推移(App Annieより)。
上下のぶれはあるものの、年間を通して比較的安定して推移しているのが分かる

注目される、海外への取り組み

また今後の成長を考えると、海外への取り組みも注目されるところです。
Aimingは2012年には韓国に子会社を設立したのを皮切りとして、アジア向けのサービス展開を積極化。最近では2014年12月にTencentと資本業務提携を結ぶなど、一貫してオンラインゲームと相性のいい、アジアでのサービス展開に力を入れているようです。

初動の伸びの弱さ、プロモーション戦略の強化が課題

ゲームアプリのコア化が進む今後、MMORPGなどAimingが得意とする分野は、注目が高まると考えられ、国内外での一層の伸びが期待されています。
しかしながら競争が激化してくる今後は、初動の伸びの弱さ、ひいてはプロモーション戦略の強化が、同社の課題になってくるでしょう。
2014年秋頃から「剣と魔法のログレス いにしえの女神」でテレビCMを展開したことで注目を集めましたが、今後はプロモーションにも攻めの戦略が求められるところです。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。