[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]自社・協業タイトルで安定した人気作を輩出する セガネットワークス

absuke absuke
2015/02/06 (Fri)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]自社・協業タイトルで安定した人気作を輩出する セガネットワークス

-はじめに-

スマートフォンのゲームアプリで高い人気を獲得しているベンダーを取り上げる、
ベンダーピックアップですが、本編で第10回目となりました。
第10回目となる今回は、自社・協業タイトルで安定した人気作を輩出する、
セガネットワークスをPICK UPします。

セガサミーグループでスマートフォンゲーム事業の中心的な役割を担うセガネットワークス

今回も、前回に続き、
急速にマーケットでの存在感を高めている
大手ゲームメーカーにスポットを当てたいと思います。

今回取り上げるのは、セガサミーグループで
スマートフォンゲーム事業の中心的な役割を担っている
セガの子会社、セガネットワークスです。

「キングダムコンクエスト」以降、ゲームアプリで存在感を高める

セガサミーグループのセガは、コンシューマーゲームを主体として
幅広いゲーム事業を展開していますが、
スマートフォン向けのゲームアプリで存在感を大きく高めたのは、
「キングダムコンクエスト」以降になります。

カードバトルやライトゲームが主流だった2011年に、
コア層に向けた本格的なオンラインRPGとして
配信されたにも関わらず(海外では2010年より配信)、
多くのユーザーを獲得してアプリマーケットの売上ランキング上位を
獲得するに至ったのです。

「キングダムコンクエスト」以降、ゲームアプリで存在感を高める

キングダムコンクエストは、2014年7月をもって終了しましたが、
(現在は続編の「キングダムコンクエスト2」が配信中)
同タイトルの成功が、セガにとってスマートフォンゲームの成長性を知り、
セガネットワークスの設立に至るきっかけとなったのは確かでしょう。

大きなブレイクスルーとなった「ぷよぷよ!!クエスト」

セガはセガネットワークス設立後、
同社を通じて自社開発、他社との共同開発などさまざまな形で
スマートフォンゲームの提供を進めてきました。
中でも大きなブレイクスルーとなったのが、2013年配信の「ぷよぷよ!!クエスト」です。

同タイトルは、スマートフォンのフリーミアムモデルのビジネスに合わせ、
ゲーム内容を「ぷよぷよ」から大きく変えた内容となったことから、
当初は不安視する声も出ていました。

ブランド力、ライト層を中心に人気を得てヒットを獲得

ですが、モバイルでは特に人気と知名度が高い「ぷよぷよ」のブランド力、
そして、手軽に楽しめるゲーム内容からライト層を中心に人気を得てヒットを獲得。
現在もアプリマーケットの上位に顔を出す、定番タイトルの1つとなっています。

図1図2

▲「ぷよぷよ!!クエスト」は、“落ちものパズル”ではないなど従来と大きく異なるシステムに
変更されながらも、現在に至るまで人気を獲得している主力タイトルとなっている。
(写真はプレスリリースより) (C) SEGA / (C) SEGA Networks

チェインクロニクル」が市場全体に与えたインパクト

そしてもう1つ、同社だけでなく業界全体に大きな影響をもたらしたのが、
同じく2013年に配信された「チェインクロニクル」です。

これはタワーディフェンス要素を備えたアクションRPGですが、
ステージを進めるに従って、キャラクター同士によるさまざまなストーリーが織りなされる点が
高い評価を受けてヒットを獲得。
同タイトル以降、ストーリー性を重視したRPGがスマートフォンで急増し、
人気となっていったことからも、市場全体に与えたインパクトの大きさが
理解できるのではないでしょうか。

図3

▲バトルにタワーディフェンスを採用し、キャラクター同士のつながりによって
ストーリーが展開する「チェインクロニクル」は市場全体に大きなインパクトをもたらした。
(写真はプレスリリースより) (C) SEGA / (C) SEGA Networks

他社との協業タイトルで成果を残しているのも強みのひとつ

セガネットワークスはこうした自社開発タイトルだけでなく、
他社との協業タイトルで成果を残しているというのも、
大きな強みとなっています。

2012年に配信されたポケラボとの共同開発タイトル
「運命のクランバトル」が長きにわたってランキング上位を記録したのに加え、
f4samuraiとの協業では、「ボーダーブレイク mobile -疾風のガンフロント-」
「アンジュ・ヴィエルジュ ~第2風紀委員 ガールズバトル~」がヒット。
Aimingとの協業で開発された「幻塔戦記 グリフォン」も、
安定した人気と売上を獲得しています。

図4

▲トレーディングカードゲームの世界観をゲームにしたカードバトルRPG
「アンジュ・ヴィエルジュ ~第2風紀委員 ガールズバトル~」は業務提携しているf4samuraiが
開発(※写真はプレスリリースより) (C) SEGA / (C) SEGA Networks / (C) Ange Project

ユーザーの相互流入を図るプラットフォームも提供

またセガネットワークスは、2012年よりアプリのマーケティング支援プラットフォーム、
「Noah Pass」を提供。ユーザーの相互流入を図るプラットフォームを自身で提供し、
ゲームベンダー同士によるマーケティング支援施策を実施することにより、
業界全体の活性化を高めつつ、自社の存在感を高めることにも成功しています。

他社にはない優位点を持つセガネットワークス

セガネットワークスの傾向を見ると、
1本で会社の収益を支えるようなビッグヒットタイトルこそ持っていませんが、
安定した開発ラインと協業先を持つことによって、
ミドルクラスのヒット作を安定して輩出していることが、
強みとなっているのが分かります。

また今後を考えた場合、セガがコンシューマーゲームで培った
「ソニック」シリーズなど、高い知名度を誇る強力なIPを持っており、
特に海外においてはそれらを活かした展開がしやすいというのも、
他社にはない優位点といえそうです。

今後さらに重要な存在になるスマートフォン事業

一方でセガサミーグループ全体の業績を見ると、
最近は減収傾向が続いており、
アミューズメント事業を中心に人員整理を実施するなど、
決して好調とは言えない状況が続いています。

それゆえ今後は、グループ全体の戦略においても
セガネットワークスのスマートフォンゲーム事業が
重要な存在になってくると考えられますし、そのためには安定性だけでなく、
一層の成長に向けたヒットの創出が求められることになるかもしれません。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。