[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]豊富に持つIPをフル活用し存在感を高めるバンダイナムコゲームス

absuke absuke
2015/03/06 (Fri)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]豊富に持つIPをフル活用し存在感を高めるバンダイナムコゲームス

-はじめに-

これまでコンシューマーゲームを提供してきたスクウェア・エニックスや、セガなど、
近頃、スマートフォンゲームの市場でも大手ゲームベンダーが存在感を高めつつあります。

そこで今回は、マーケットで大きな存在感を示すようになった、
大手ゲームベンダーの1つ、バンダイナムコゲームスのスマートフォンゲーム戦略について紹介します。

大手ゲームベンダーのひとつ、バンダイナムコゲームス

本連載ではここ最近、スクウェア・エニックス、セガネットワークスと、
近頃スマートフォンのゲームでも存在感を高めてきている大手ゲームベンダーに関する動向を紹介してきました。
セガはその後、セガネットワークスを吸収して「セガゲームス」に改名するなど、
大手ゲームベンダーにとってもスマートフォンゲームの存在が重要となりつつあることが分かります。
バンダイナムコゲームスもその大手ゲームベンダーのひとつです。

ソーシャルゲームの時代より人気タイトルを多く投入してきた

バンダイナムコゲームスは、現在も高い人気を博す、「アイドルマスターシンデレラガールズ」をはじめとして、
モバイルの分野ではソーシャルゲームの時代より、高い人気を獲得するタイトルを多く投入してきました。

スマートフォン向けの取り組みとしては、2009年にiPhone向けに、同社の人気タイトルの1つ、
「ACE COMBAT」のiPhone/iPod Touch版である「ACE COMBAT Xi Skies of Incursion」を提供して以降、
コンシューマーゲーム・アーケードゲーム向けタイトルを主体としてゲーム提供を続けてきました。

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▲バンダイナムコゲームスのスマートフォン向け初期作品「ACE COMBAT Xi Skies of Incursion」。当初は有料課金による配信が主流だった(画像はプレスリリースより)
ACE COMBAT(TM)Xi Skies of Incursion (C) 2009 NBGI (C) GeoEye (C) JAPAN SPACE IMAGING CORPORATION.
All trademarks and copyrights associated with the manufacturers, aircraft, models, trade names,brands and visual images depicted in this game are the property of their respective owners, and used with such permissions.
Powered by “CRIWARE mobile”. CRIWARE is a trademark of CRI Middleware Co., Ltd.

強みを活かし、有料課金タイプに主軸をおいていた

そうした中から、「太鼓の達人」のようにスマートフォン初期の定番として人気を獲得したタイトルも生み出されています。
ですがこの時期は、ブラウザ向けのソーシャルゲームと、アプリとして提供されるスマートフォンゲームの棲み分けがなされていた時期でもあり、
同社はコンシューマーゲームに強いだけに有料課金タイプのゲームを主軸に据えていました。
そうしたことから有料アプリの価格下落の波に巻き込まれたのに加え、無料アプリを好むユーザー傾向が大きく影響し、
大きな売り上げにつなげることはできなかったと見られます。

IPを活用したタイトルの提供以降、市場に存在感を示し始める

この市場で同社が存在感を示すようになったのは、ブラウザからアプリというモバイルゲームの変化を受け、
“IPを活用したカードバトル”といったソーシャルゲームの要素を含むゲームを、アプリとして提供するようになって以降といえるでしょう。
実際、2011年9月に配信開始した「ガンダムエリアウォーズ」や、2012年11月に配信開始した「仮面ライダー ライダバウト」などは、
現在に至るまでランキング上位に顔を出すタイトルとなっています。

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▲2011年に配信された「ガンダムエリアウォーズ」など、ソーシャルゲームの要素にIPとアプリならではのゲーム性を加えた内容で
継続した人気を得るようになった(C)創通・サンライズ

次々とヒットを生み出す、IPを活用したタイトルの配信

さらに最近では、2014年1月に配信した「ONE PIECE トレジャークルーズ」、
2014年3月配信の「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ」など次々とヒットを生み出したほか、
直近では2月19日に配信を開始した「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」が、
2月26日には590(ゴクウ)万ダウンロードを記録するなど、短期間で大きな成果を残しています。

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▲昨年配信された「ONE PIECE トレジャークルーズ」は、IPの持つ高い人気もあって、配信直後から人気を獲得、
1000万ダウンロードを記録したほか海外向けの配信もなされている(写真はドリコムのプレスリリースより)
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション (C)NBGI

人気の高いIPを豊富に所有している点が同社の強み

これらタイトルに代表されるように、バンダイナムコゲームスは人気の高いIPを豊富に所有しており、
それらを存分に活用したゲームを提供できるのが、大きな強みとなっているのが分かります。
特にコア化の進行が顕著な最近のスマートフォンゲームにおいては、知名度のあるIPがダウンロード数などの面で非常に大きな影響をもたらします。
ソーシャルゲーム時代にIPの活用とフリーミアムモデルのノウハウを身に着けたことが、
スマートフォンゲームでの成功に結びついているのは確かでしょう。

共同開発体制を引き、アプリを提供している点も同社の特徴

また、「ONE PIECE トレジャークルーズ」「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストシューターズ」はドリコム、
「テイルズ オブ アスタリア」はKlab、「テイルズ オブ リンク」はアカツキ、「ガンダムコンクエスト」はセガ……といった具合に、
同社はIPを活用したタイトルにおいて、モバイルで実績のある企業と共同開発体制を敷き、
多くのアプリを提供できる仕組みを整えているのも、戦略上大きなポイントになっているでしょう。
その分自社開発のノウハウが低下するというデメリットはありますが、豊富に持つIPを自社だけで有効活用するのは難しいことから、
協業というモデルは有効に働いているといえるのではないでしょうか。

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▲昨年3月に配信開始した「テイルズ オブ リンク」は、「サウザントメモリーズ」などで知られるアカツキとの共同開発タイトルだ。(写真はアカツキのプレスリリースより)
(C) NAMCO BANDAI Games Inc. developed by Akatsuki inc./NAMCO BANDAI Studios Inc.
(C)いのまたむつみ (C)藤島康介

コンシューマーゲームのリソースを活かし、いかにヒットタイトルを生み出せるか。

もちろん他の大手ゲームベンダー同様、コンシューマーゲームのリソースを活かして、
高い売上を獲得できるタイトルを生み出すことに関しては、まだ課題もあります。
2013年11月配信の「ドリフトスピリッツ」がヒットしたことでその兆しも見えてきていますが、
今後同社がコンシューマーゲームで強みとしてきた開発力と、
スマートフォンならではのビジネスモデルを両立させたゲームをいかに生み出せるかが、
戦略的にも重要になってくるといえるでしょう。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。