[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]3年でゲームアプリの主要なプロモーション手段となったテレビCM、今後の傾向は?

absuke absuke
2015/03/20 (Fri)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]3年でゲームアプリの主要なプロモーション手段となったテレビCM、今後の傾向は?

-はじめに-

テレビCMは、ここ2、3年のうちに、スマートフォンゲームにおける主要なプロモーション手法として定着を見せています。
そこで今回は、スマートフォンゲームアプリのテレビCMにおけるこれまでの動向変化と、最近の傾向について解説していきましょう。

スマホベンダーのテレビCMへの取り組み

スマートフォンゲームベンダーのテレビCMに対する取り組みは、モバイルコンテンツ、
さらにはソーシャルゲームの延長線上として展開されてきました。
ですが、スマートフォンゲームアプリとしてのテレビCM展開が本格化したのは、
2012年10月にガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)が、
「パズル&ドラゴンズ」(以下、パズドラ)のテレビCMを実施して以降といえます。

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▲「パズル&ドラゴンズ」は2012年10月15日よりテレビCMを開始
(ガンホーの2012年12月期 第3四半期決算説明会資料より)

「パズドラ」テレビCM開始直後のゲームアプリ市場

パズドラのテレビCMを展開し始めた2012~2013年頃は、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行時期であり、
ゲームを遊ぶこと自体注目されていた訳ではありませんでした。それゆえパズドラのCMのクリエイティブも、
生活シーンにゲームをプレイする姿が溶け込んだものや、ゲームの内容を分かりやすく説明するものなどが主流でした。
他の企業のテレビCMも同様のクリエイティブを踏襲したことから、この時期はゲームアプリのCMながら、
ゲームらしさをイメージさせないCMが多かったといえます。

CM展開に大きな変化が現れた2014年

その傾向に大きな変化が現れたのは昨年、つまり2014年です。
同年にはガンホーが、これまでとは異なりパズドラのゲーム内容を積極的にアピールするクリエイティブのCMを
流し始めたのに加え、他のゲームベンダーのCMも、徐々にゲームの要素をアピールする内容のものへとシフトしていったのです。

「モンスターストライク」のテレビCM展開がその後のCM利用拡大に影響

2014年に変化したのはクリエイティブだけではありません。
アプリマーケットが飽和傾向にあることに加え、テレビCMの集客効果の高さが実証されたことから、
テレビCMを実施するゲームベンダー自体2013年と比べて急増しました。
特にミクシィが増資で得た資金で「モンスターストライク」のテレビCMを展開し、会員の大幅な増加へとつなげたことは、
その後のテレビCM利用急拡大に大きく影響したといえるでしょう。

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▲ミクシィ「モンスターストライク」の初期テレビCM(プレスリリースより)。
増資によるCM展開が急成長へとつながり、ゲームアプリのテレビCM展開に大きな影響を与えた

2015年のテレビCMの動向は?

こうして昨年まで急拡大を続け、今ではゲームアプリの主要なプロモーション手段として定着したテレビCM。
では今年のテレビCM動向はどうなるのか?というと、ゲームアプリ自体の競争が激化しているのに加え、
一般のスマートフォンユーザーにアピールできる有効なプロモーション手段が他に見つかっていないことから、
テレビCMを展開する企業自体はまだ増えると推測されます。
ですが一方で、ゲームアプリCMも本数が増えたことで競争が激しくなってきていることから、
従来のように“CMを打てばユーザーが大幅に増える”という訳にはいかなくなりつつあるのも事実です。

テレビCM実施も、これまで以上にタイミングの見極めが必要になってくる

それゆえ今後は、費用対効果を考えながらテレビCM実施のタイミングを考える必要があるでしょう。
テレビCMは、アプリの人気がある程度高まり、一定の売上を上げるようになってから展開するのがセオリーですが、
最近では「白猫プロジェクト」(コロプラ)や「SKYLOCK – 神々と運命の五つ子 -」(gloops)などのように、
アプリ配信開始後程なくしてテレビCMを実施するなど、先行投資によって成功を得るケースも増えています。
それだけに、どのタイミングで勝負をかけるかの見極めが、必要になってきたといえます。

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▲gloopsは「SKYLOCK – 神々と運命の五つ子 -」の配信後から、
タレントのローラさんや本田翼さんなどを起用したテレビCMを次々と投入し、知名度向上をはかった
(写真は2014年12月3日のgloopsプレス発表会より)

求められる、クリエイティブの工夫と差別化

加えて、CM自体の本数が増えていることから、クリエイティブによる差別化も今後強く求められるところです。
最近では、メジャーリーガーの田中将大選手を起用したKONAMIの「実況パワフルプロ野球」などのように、
知名度の高い人物を起用するケースが増えています。
ですが一方で、昨年展開されたパズドラの「パズドラダンス編」が、
CM DATABANKの2014年11月好感度調査で12歳以下の男女から1位の支持を得るなど、
クリエイティブの工夫がユーザーの心をつかむケースも見られるようになってきました。

おわりに

テレビCMは決して安くないプロモーションだけに、各社の勝負どころが見えてくることから、
ゲームアプリの動向を占う上で大いに注目すべきポイントの1つといえます。
今回は全体的な傾向について振り返ってみましたが、
今後は個々のCMに関する動向などについても、触れていきたいと思います。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。