[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]スポーツを軸にヒットを輩出し成長する コナミデジタルエンタテインメント

absuke absuke
2015/05/02 (Sat)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]スポーツを軸にヒットを輩出し成長する コナミデジタルエンタテインメント

-はじめに-

スマートフォンゲームを提供するベンダーにも、
コンシューマー系出身のベンダーからさまざまなプラットフォームでゲームを提供してきたベンダーまで、
そのバックグラウンドは多種多様です。
その中でも、ここ最近、特に急速な伸びを見せているのが、
コナミのゲーム事業を担っているコナミデジタルエンタテインメントです。
今回は、他の大手メーカーとは異なる路線で人気を高めている、
コナミデジタルエンタテインメントのスマートフォンゲームの動向について
追いかけてみましょう。

「ドラゴンコレクション」の大ヒットにより注目を集める

他のゲームメーカー同様、古くからモバイルのゲーム分野に参入していた
コナミデジタルエンタテインメントですが、
特に大きな存在感を示したのはソーシャルゲームの分野であり、
2010年にGREE向けに提供した「ドラゴンコレクション」が大ヒットしたことで、
一躍注目を集める存在となりました。

後のカードバトルゲームの基礎を作り上げた「ドラコレ」

ちなみにドラゴンコレクションは、
コナミが強みを持っていたトレーディングカードの要素を取り入れつつ、
属性や合成、ガチャといった要素をゲームシステムに盛り込むなど、
後のカードバトルゲームの基礎を作り出したタイトルでもあります。

これら仕組みの多くは、カードバトル以外でも
国内の多くのスマートフォンゲームに取り入れられていることから、
現在のモバイルゲームの方向性を作り上げたと言っても過言ではないでしょう。

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▲2012年の東京ゲームショウより。
当時は同社のソーシャルゲームが非常に高い人気を博していたことから、
会場限定カードを手に入れるため多くの人が列をなすなどの熱狂ぶりが見られた

ブラウザゲームでヒットを排出した一方でネイティブアプリゲームへのシフトが遅れた

その後もコナミデジタルエンタテインメントは「戦国コレクション」「クローズ×WORST~最強伝説~」など
ブラウザゲームで多くのヒット作を輩出。同市場での存在感を高めていきましたが、
一方でブラウザゲームへの注力から、スマートフォンのネイティブゲームに対する取り組みが弱く、
ネイティブゲームのブームには波に乗り遅れたといえます。

ヒットタイトルのハイブリッド化でアプリマーケットに向けた取り組みを本格化したのに加え、
2013年にはドラゴンコレクションの仕組みを活かしたネイティブゲーム、
「ドラコレ&ポーカー」なども提供するなど、さまざまな取り組みをしていますが、
いずれも大きなヒットには結びつきませんでした。

ワールドサッカーコレクションSのヒットが糸口に

スマートフォンでのヒットの糸口がなかなか見いだせず
苦戦が続いたコナミデジタルエンタテインメントですが、
同社がブラウザゲームとして提供していたサッカーのソーシャルカードゲーム、
「ワールドサッカーコレクション」をベースに、
3Dによる対戦シーンを加えるなどネイティブアプリならではの演出を加えて、
2013年6月に提供した、「ワールドサッカーコレクションS」が、
2014年には200万ダウンロードを記録するなどしてヒットを獲得。
テレビCM展開を図るなどして更なる集客を図り、現在もユーザーの拡大を続けています。

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▲「ワールドサッカーコレクションS」は、ブラウザゲームのカード育成バトル要素をベースに、
ネイティブアプリならではのリアルな3Dによる演出を加える形で提供。
ヒットを獲得するに至った(画像はニュースリリースより) (C)Konami Digital Entertainment

「実況パワフルプロ野球」もヒット。積極的なプロモーションで利用者と売上が拡大

さらに2014年12月に配信を開始した、「実況パワフルプロ野球」が、
コンシューマー版に近い選手育成要素を取り入れるなどして
ユーザーから受け入れられ、こちらもヒットを記録。
メジャーリーガーの田中将大選手を起用した積極的なプロモーションを実施して
利用者数と売上を拡大しており、
最近ではアプリマーケットのランキングトップ10に入る機会も増えているようです。

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▲昨年末に配信された「実況パワフルプロ野球」は、コンシューマーゲームで人気の育成要素を取り入れるなどして、
2ヵ月で500万ダウンロードを獲得するに至った (C)Konami Digital Entertainment
阪神甲子園球場公認 ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2014年のデータを基に制作しています。

ファンを上手に誘導できたことが「成功要因」のひとつ

これらのヒットタイトルは、いずれもブラウザゲームやコンシューマーゲームで
ヒットを獲得したタイトルがベースとなっていることから、
そのファンを上手に誘導できたことが成功要因となっているのは確かでしょう。

ですが両タイトル共にスポーツゲームであり、スポーツゲームで大きなヒットを獲得したことは、
今後を考えると非常に大きな意味を持つといえます。

継続率が高い傾向の「スポーツゲームのプレイヤー」

なぜならスポーツゲームのプレーヤーは、そのスポーツやチームのファンが多いことから、
層はある程度限られるものの、継続的にプレイしてくれる傾向が強いからです。

特に対象となるスポーツのシーズン中はゲームをプレイする人が増え盛り上がる傾向が強く、
最近でもコロプラの「プロ野球PRIDE」の動向を見ると、
プロ野球のシーズンに入ると共に、売上ランキング上位に復活するなど、
非常に特徴的な動きを見せています。

コナミの今後の課題は?

コナミデジタルエンタテインメントは
さまざまなプラットフォームでスポーツゲームを提供し、
豊富な実績と資産があります。
それだけに強みを持つスポーツの分野で成功したことは、
ビジネス面でも安定した収益を生み出しやすいことから
大きなプラスとなったことは確かでしょう。
ですが一方で、スポーツ以外でのヒットタイトルが見られないのは課題であり、
今後はより幅広いジャンルでヒットゲームを生み出すことが
求められているといえそうです。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。