[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]上場各社の決算から今後を読む~運用力が問われるガンホーとコロプラ

absuke absuke
2015/05/18 (Mon)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向]上場各社の決算から今後を読む~運用力が問われるガンホーとコロプラ

-はじめに-

4月下旬から5月前半にかけて、上場各社の決算発表が相次いでいます。
そこで、モバイルゲーム関連各社の決算内容から、主要企業及び主要ゲームタイトルの動向について、
ピックアップして確認してみたいと思います。
今回はヒットタイトルを抱える、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)と
コロプラの決算内容を振り返ってみましょう。

ガンホーは業績の安定化の傾向

「パズル&ドラゴンズ」(以下、パズドラ)が人気のガンホーの2015年度12月期第1四半期決算は、
売上高が前年同期比10.6%減の446億1800万円、営業利益が17.7%減の23億6800万円。
2014年度と比べると、ライバルの増加などもあって主力のパズドラの売上が下がっている印象を受けますが、
対前期比では売上10.9%増、営業利益13.6%増と反転傾向にあり、
波がありながらも業績の安定化に向かっていることが分かります。

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▲ガンホーの今期業績は前年同期比では減少しているものの、
前期比では増加しており、安定傾向に向かっている(決算発表会資料より)

成長の鍵となるIPの横展開と海外市場の開拓

しかしながら、パズドラも提供開始からはや4年が経過しており、
すでに累計3500万ダウンロードに達していることから、
国内での劇的な成長は難しい部分もあります。

積極的なコラボなど継続利用に向けた取り組みは実施されているものの、
大きな変化がない限りは、当面国内での業績は安定、
もしくは微減傾向が続く可能性が高いといえるでしょう。
それゆえ「パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズ エディション」などによるIPの横展開や、
中国など海外での市場開拓が、パズドラ自体の成長の鍵になってくるといえそうです。

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▲パズドラは国内で3500万、全世界で4500万ダウンロードを記録しているとのこと。
今後はIPの拡大と海外展開が成長の鍵になると見られる(決算発表会資料より)

新しい収益の柱となりうる、「ディバインゲート

そうしたことから、特に国内での成長に向けたガンホーの取り組みとして注目されるのは、
パズドラに続く柱をいかに作り上げるかということ。

今回の決算発表においてガンホーは、400万ダウンロードに達した「ディバインゲート」を取り上げ、
継続的な成長により新しい収益の柱として育ちつつあると、期待がかけられているようです。
最近では積極的なテレビCMも実施されたディバインゲートですが、
キャラクターや世界観などから若年層からの人気が高いようで、
課金構成もパズドラとは異なり、ややコア寄りな傾向が見られます。

企業としても大きな変化を迎えつつあるガンホー

“広く浅く”という課金スタイルをとる、パズドラとバッティングしないという意味でも、
ミドル・コア層をカバーするディバインゲートを地道に成長させてきたことは、
業績拡大に向けた好材料といえるでしょう。

ガンホー自身も、自社株買いによってソフトバンクから自立し、
上場市場変更への準備が進められるなど企業としても大きな変化を迎えつつあることから、
既存タイトルの底上げでベースを固めつつ、次のヒットによる加速が求められるところです。

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▲ディバインゲートが順調な伸びを示し、高い売上を確保するようになったことから、
新しい柱として期待されているようだ(決算発表会資料より)

引き続き大幅な業績の伸びを見せるコロプラ

一方、引き続き好調な伸びを示しているのがコロプラです。
同社の2015年度9月期第2四半期決算は、
売上高が前年同期比40.8%増の330億500万円、営業利益が48%増の151億1100万円と、
3桁もの伸びを記録した昨年と比べれば成長ペースは落ちているものの、
それでも大幅な業績の伸びを見せていることが分かります。

売上を伸ばす前段階といえる今期

とはいえ、今期は新作ゲームが、3月後半に配信開始した「東京カジノプロジェクト」のみであり、
売上の大きな拡大は見込みにくかったことから、
前期比では売上が1億1500万円と小幅な伸びにとどまっています。
テレビCMを抑制したことによる広告宣伝費の減少や、海外での売上拡大などが伸びにつながったといえますが、
4月には順調に新作が出揃ったことを考えると、今期は売上を伸ばす前段階にあるといえます。

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▲コロプラの今期決算は前年同期比では大きく伸びているが、
新作が少なくその貢献を受けにくいシーズンであることから前期比では微増にとどまっている(決算発表会資料より)

白猫プロジェクト投入のタイミングに見る、良点と懸念

このことは、黒ウィズのピークアウトを迎える前に、白猫プロジェクトを投入し、
落ち込みをカバーしながら成長につなげるなど、
新規タイトルのタイミング良い投入が継続的な成長につながっていると見ることができます。
ですが一方で、ヒットタイトルがピークアウトを迎えるタイミングが比較的短いと見て取ることもでき、
ヒットを生み出せない時の下支えの弱さが不安要素ともいえます。

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▲サービス別の売上推移。白猫プロジェクトなど昨年配信したタイトルの伸びが大きい一方で、
黒ウィズなど一昨年以前に配信したタイトルが急速に落ちているのが気になる(決算発表会資料より)

課題となる既存タイトルの収益安定化

4月に投入した「バトルガールハイスクール」が、比較的コアな層を主体に注目を集め順調に立ち上がるなど、
新規タイトルに関しては安定した傾向が見られますが、
黒ウィズと白猫プロジェクトという2本柱の収益安定化をいかに進めていくかが、
今後同社にとって大きな課題になってくるといえそうです。

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▲「「バトルガールハイスクール」などリリース済みの3タイトルに加え、
新たに9本の新規開発ラインが動いているとのこと(決算発表会資料より)

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が読み解く スマホアプリマーケット傾向と対策(日経BP社)」 「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。


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