[佐野正弘のスマホゲーム業界動向] 2015年前半を振り返る ~ユーザー課金状況から見えるコアゲームの急伸ぶり~

absuke absuke
2015/07/21 (Tue)
スマホゲーム集客


[佐野正弘のスマホゲーム業界動向] 2015年前半を振り返る ~ユーザー課金状況から見えるコアゲームの急伸ぶり~

-はじめに-

今年も半分を折り返しましたが、スマートフォンゲームの動向を見るとやはりいくつかの大きな変化が起きていると感じます。
そうした大きな変化の1つとなるのが、コアゲームが確実に存在感を高めていることです。
今回はAppStoreランキングにみる、ゲームのコア化を象徴する現象をまとめ、読み解きました。

急速に増える、コア寄りのゲーム

これまでライトなユーザーの獲得に力を入れ、それが成長を支えてきたスマートフォンゲーム各社ですが、
昨年頃から急速に、よりコンシューマーゲームに近い内容や雰囲気を感じさせる、
ゲームファンからの人気を獲得しやすいコア寄りのゲームを提供するケースが増えてきました。
その影響が、市場に顕著に表れるケースが目立ってきました。

コア化を象徴するApp StoreのトップAPP内課金

それを象徴しているのが、App Store内の各アプリにおける、課金アイテムランキングを示す「トップAPP内課金」です。
仮想通貨を採用している多くのゲームにおいて、
トップAPP内課金の金額は、ユーザーが一度に仮想通貨を購入する額を示しているといえ、
上位にランクするアイテムの金額が少なければライトユーザー主体、
多ければコアユーザー主体で収益を上げていると見ることができます。

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▲「パズル&ドラゴンズ」「LINE:ディズニー ツムツム」などのトップAPP内課金を見ると、少額課金が主流で“広く浅く”売上を上げていることが分かる

課金ランキングトップが高額課金を占めるケースも

ですが、最近人気のゲームを見ると、異なる傾向を示すものが多くなっています。
「白猫プロジェクト」の場合、トップAPP内課金のランキングトップが5400円と
比較的高額な「ジュエル360個」となっています。
同様の傾向は、「剣と魔法のログレス いにしえの女神」「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」など、
コア寄りのタイトルで多く見ることができ、中には「戦国炎舞 – KIZNA」「ゲーム・オブ・ウォー」のように
1万円を超えるアイテムがトップを占めるケースも見受けられます。

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▲コア寄りの「白猫プロジェクト」は5000円を超えるアイテムがトップに入っている。「ゲーム・オブ・ウォー」のように1万円超えのアイテムがトップとなるケースも

1位が高額アイテムでなくとも2位が高額アイテムのケースも

1位が高額のアイテムでなくとも、2位に1000円を超えるアイテムが入ってくるケースも増えています。
例えば「FINAL FANTASY Record Keeper」は、トップAPP内課金のランキング1位こそ120円の「ジェム:Aセット」ですが、
2位に3600円の「ジェム:Fセット」が入っており、1位と2位のギャップの大きさを感じさせます。
同様の傾向は「モンスターストライク」「ワールドサッカーコレクションS」などでも見ることができます。

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▲「モンスターストライク」「FINAL FANTASY Record Keeper」などのように、1位と2位とで課金額が大きく分かれるケースも増えている

コア寄りの課金状況のアプリはどの程度の比率を占めるか

では実際のところ、コア寄りの課金状況となっているアプリはどの程度の比率を占めているのでしょうか。
やや大雑把な括りではありますが、トップAPP内課金のランキング1位が1000円を超えているものを“コア”、
1位は1000円未満だが2位が1000円を超えているものを“ミドル”、双方共に1000円未満のものを“ライト”とした場合、
App Storeのゲームカテゴリにおけるトップセールスランキング上位30位の比率は、次のグラフのようになります。

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▲App Storeのゲームカテゴリランキング上位30位以内のアプリにおける、トップAPP内課金の傾向の違い(2015年7月7日時点)

ゲームのコア化による、1人当たりのゲームの課金状況の変化

このグラフを見ると、課金がコア寄りの体系となっているものが半数を占める一方、
1000円未満の課金が売上の多くを占めるタイトルは少数派となっていることが分かります。
ゲームのコア化によって1人当たりのゲームに対する課金状況が、狭く、深くなっていることを見て取ることができるでしょう。

コア寄り、高額課金主体タイトルがランキング上位に

さらに大きな変化を感じるのが、こうしたコア寄りで、かつ高額が課金主体のタイトルが
売上ランキング上位、しかもトップにランクする機会が増えていることです。
実際、執筆時点(7月7日)では、先に触れた白猫プロジェクトがApp Storeのトップセールス1位を獲得しています。

イベント実施がランキングに大きく寄与する

もっとも現在のところ、そうしたケースの多くは、
イベント等による一時的なものだということは考慮する必要があるでしょう。
白猫プロジェクトもランクインした同日には夏のイベントを実施していることから、
ランキングトップの獲得にはその影響を受けた可能性が高いと考えられます。

コアユーザーの爆発力がマーケットに影響を与えている

しかしながら、コアユーザーの爆発力が、
イベントなどを引き金としてマーケットに大きな影響を与えていることは事実であり、
それだけコアゲームの影響力が高まっていることは確かだといえます。
今年後半の動向を見据える上でも、コアゲームがどこまで存在感を示すようになるかは注目されるところです。

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執筆者紹介
佐野 正弘(さの まさひろ) モバイルジャーナリスト 福島県出身、東北工業大学卒。
エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

■定期執筆中の媒体
「佐野正弘が斬る! ニュースなアプリの裏側(日経BP社)」
「佐野正弘のスマホビジネス文化論(アイティメディア社)」 など多数。